毒の処刑と荊の日々
毒と皮肉がなければ生きていけないダンスパフォーマーです。音楽好きです。スポーツは嫌いですがフィットネスは好きです。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
創作衆道話 「おでん屋」 3
それからいくらの時間が過ぎたのでしょう。大勢の人の声が聞こえてきて、うっすらと意識が戻ってきました。
目が覚めて新衛門は驚きました。 何と誰かの尻の穴が目の前に拡げられさらけ出されていたのです。そして口の中には、その尻の穴の主の、ズっしりとした金の玉がこじ入れられていたのです。
「オエっ」
正気に戻った新衛門は嗚咽を覚えました。起き上がり、その誰かをひっくりかえして顔を見ると
なんと、おでん屋の大将だったのです。二人とも褌一枚も身につけておらず、素っ裸でありました。
周囲には町人達の人集りができ、皆はゲラゲラと大笑いしていました。

「何でもするって言ったからって、こりゃねえよ~」 また新衛門は半泣きになってしまいました。
おでん屋の大将といえば、素っ裸で大股を開き、でっぷりした毛むくじゃらの腹を出して、ぐうぐうと気持ちよさそうに寝ております。
「大将、大将、早く起きろって、一人にしないでくれよお」
と、大将を起こしながら、大将まで狸の仕返しに巻き込んでしまった事を申し訳なく思う新衛門でした。

その日はよく晴れた、温かい日の差す朝でした。
もちろん今夜も、この出来事を肴にして、おでん屋で酒を呑むでしょう。

THE ENDE

スポンサーサイト
創作衆道話 「おでん屋」 2
その夜は寒い夜でしたが何か別の寒さを感じた新衛門は勘定を済ませ、おでん屋を後にしました。
ああ、いやな話聞いちまったなあ、幽霊はともかくあの若旦那とんでもねえやつだなあ、と思いながらも、ちょっと幽霊が怖い新衛門は早く四丁目の角を過ぎようと足を速めました。
そしてその、四丁目の角にさしかかった時でした。 ビョウ! と生温かい風が吹き新衛門の身体を取り囲みました。

「宗三郎さま~・・・・・・・・・」 

と声が聞こえてきました。
ギャア!出たア! 驚いた新衛門はおでん屋に戻ろうとものすごい速さで走りました。そして勢いよくおでん屋の戸を開けました。
「で、でたあ、でたよ大将、聞いちまったよう」
そこはさっきまで商いをしていたとは思えないぐらい、廃れた、真っ暗なおでん屋になっていました。
「大将、もう帰ったのかい、まだ居るんだろう出てきてくれよ~」
すると暗闇の中から誰かが現れました。「ああ、大将やっぱり居たんじゃねえかあ」 その現れた旦那はズシリと新衛門に倒れかかってきました。 「大将どうしたんだよ」 それは真っ黒な血でドロドロになった大将か誰かわからない人物でした。
「ギャア、また出たア」
再び新衛門は走りました。もう何がなんだかわからない状態でした。 「ああもう、勘弁してくれよう」
そういった瞬間、 ザ――――!! と大量の木の葉はかぶさってきました。 ギャーー―!!
新衛門はまた叫び声を上げて尻もちをつきました。
大量の木の葉にまみれ ポカン と口をあけて震えている新衛門の前に一匹の狸が座っていました。

「この狸殺しめ」 

狸が言いました。何で狸が・・・・・・? すっかり酔いも醒めていた新衛門は思い出しました。そういえば数日前、
隣町からの帰り道、酔った勢いで捕まえた狸を川に放りこんでしまったのです。
新衛門は、もしかしてあの時の、、、と思いだし 「す、すまねえ~許してくれえ~」 と泣きながら言いました。
すると狸は
「すまんではすまされない。あなたが遊びで川に放りこんだ狸は私の子供だったのだ。あの子は寒さで震え凍え死んでしまった、この恨み、どうしてくれる」
「悪かった、なんでもするよ、何でもするから許してくれ~」
「本当になんでもするのだな」 狸は言いました。
「ああ、ああ、何でもするから許してくれえ」
するとまた ビョウ! と風が吹き、新衛門は気を失ってしまいました。

3に続く
創作衆道話 「おでん屋」 1
昔昔あるところに、新衛門という男がおりました。
酒飲みのこの男は、毎晩行きつけのおでん屋で一杯飲むのが常でした。

「いらっしゃい、いや~今夜は冷えますね」
「いや~ほんとに冷える冷える、大将、今日も熱いの一杯お願い」
「あいよ。だんな、おでんは何にしましょう?」
「大根とこんにゃく、あとはんぺんもね」
「あ~すいませんねえ。はんぺん切らしちゃってるんですよ。すいませんね」
「ああじゃあいいよ。何か適当にみつくろって」
とまあ、こんな風に毎晩毎晩飽きもせずにおでん屋の主人と会話を交わすのが楽しみな新衛門でありました。
ところが、この夜のおでん屋の主人はいつもと違う感じがしました。
何といういつもおおらかさが欠けておりました。
いつものように、一杯のつもりの熱燗が五杯目にさしかかろうとした時でした。
主人は低い声で話かけてきました。

「だんな、知ってますかい?」
「知ってるって、何を?」
「あの四丁目の角の呉服屋・・・・・」
「ああ、知ってるよ。あの店の若旦那、街の若い娘に評判だもんなあ」
「違いますよ。あの呉服屋、、、出るんですよ」
「出るって、何が?」
「これですよ」
おでん屋の主人は両手を胸のあたりでだらんと下に垂らした。
「これ?これって何だよ」
「幽霊ですよ」
「幽霊?!なんでまた呉服屋に?」
「あの若旦那、娘好きは表の顔で、実は衆道の気があって何でも隣町の陰間茶屋に通っては、若い男を買いあさってるって話なんですよ」
「へえ、おどろいた。あの若旦那がねえ」
「それで、あの店に丁稚奉公に来てた男の子に手を出しちまってたんですよ」
「丁稚奉公の男の子がいたのか。見たことねえけどなあ」
「それもそのはず、その子は来たばかりの時に若旦那に手をだされて、そのあと自害してしまったんですよ。なんでも男の子はマジに若旦那に惚れてたらしいんですが、若旦那のやつ男の子を無視して娘達と遊びまくってたらしくてね」
「気の毒に・・・・」

新衛門はふと自分の幼少時代を思い出した。隣の家のお兄さんが夏場になると、褌一枚で畑を耕していたのを。
汗と太陽の光で黒々とギラギラしていた隣のお兄さんの畑仕事の姿・・・・・
「一度でいいからあのお兄さんの、褌になってみたい。お兄さんを包んでみたい」
目をキラキラさせてそう強く思い続けて果たせなかった幼少時の淡い思い出を、酔いにまかせてうすらうすと思いだした。

「だんな、どうかしたんですかい?」
「あ、ああ、大丈夫だとも。で、幽霊と何の関係があるんだい」
「幽霊はその男の子の幽霊なんですよ。なんでも丑三つ時になると出てきて、宗三郎さま~宗三郎さま~って若旦那を呼ぶ声が聞こえてくるって話でさあ」
「いやだねえ。やめてくれよ、帰りに呉服屋の前を通るのだから驚かさないでくれよ」
「威してなんていませんよ、本当の話ですから。旦那にも言っておいたほうがいいと思いましてね」
おでん屋の主人はニヤニヤと笑いながら言いました。


続く
Copyright @ TYPE=B All Right Reserved. Powered by FC2 Blog
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。